第2章 犬
「分かってたんならはやく言いなさいよ!!」
「いえ…てっきり誘われているものなのだと思っておりましたので…」
セバスチャンはアイリーンが投げたドレスや毛布や靴なので埋もれており、息苦しそうに声を出す。
綺麗な装飾品を傷付けないようにドレスの山から抜け出して整理をしていく。
「今日は自分で着替えるわ。そこのミニドレスとって」
アイリーンは黒を基調としたミニドレスを指差すとセバスチャンはそれをとりアイリーンに渡す。
「お嬢様、それは足から通すのではなく、頭から通すのですよ」
「ふぇ?」
セバスチャンに指摘され思わず間抜けな声が出る。黙ってそのままの格好で姿見を見てみるとセバスチャンの指摘が分かったのか慌てて頭の上にもっていく。
「そっ、そんなの分かってたわよ!」
「お嬢様、そのリボンはそちらではなく後ろです」
「知ってる!」
「お嬢様、それはですね…」
「今そうしようとしてたの!」
「お嬢様、その靴は…」
「分かってる!!」
「お嬢様、それは髪飾りで足につけるものでは…」
「付け心地を確認してたの!」