第2章 犬
「さあ…おっぱい…揉ませて…!」
ばっと飛びかかってくるミア。
「セバスチャン!」
アイリーンは咄嗟にセバスチャンの名を呼ぶ。するとセバスチャンはアイリーンの前に現れる。
「アイリーンのおっぱい…ん?固い?ていうかない?ちょっとどういうことよ、アイリーン…」
ミアは揉んでいるはずのアイリーンの胸ではないと異変を感じて顔をあげる。
すると顔をあげた先にはにこりと微笑むセバスチャンの顔があった。ミアは顔を青ざめさせてセバスチャンの胸板から手を離すと階段を一段おりる。
そのセバスチャンの後ろで声も出ないくらい腹を抱えて笑っているアイリーンは立ってられなくなり、セバスチャンの燕尾を掴んだ。
「ご無沙汰しております、ミア様。本日も麗しくございますね」
「セバスチャンこそ…相変わらず綺麗な顔してるわ…」
「私の胸は堪能して頂けましたか?」
ミアとの距離を詰めてセバスチャンは問いかける。
「できるかっ!!私が好きなのは男のおっぱいなんかじゃない!アイリーンのおっぱいなの!」
「は?私?」
「そうよ!はやく揉ませて!セバスチャン、アイリーンを捕まえて!」
「はい」
バリトンボイスで微笑みながらセバスチャンはアイリーンの方を向き、手首を掴む。いつのまにか微笑みは黒くなっており、先程の恨みを晴らそうとしているのだろうか。
「はっ、はなせ!」
アイリーンはジタバタと足掻くが、セバスチャンが肩の付け根辺りを持ち上げて宙に浮かせてしまう。
「では改めて。おっぱい〜♡」
「いやあああああああああ」