第2章 犬
「は?!そんなわけないでしょ!」
アイリーンは思わず声を荒げ、首筋から手を離す。
「名残り惜しそうに首筋を撫でていらしたのでそうなのかと」
にっこりと笑うセバスチャン。アイリーンは真っ赤な顔で睨みつけてベッドから足を下ろす。
「遊びは大概にして。早く着替え」
「それはそれは失礼しました」
アイリーンはパジャマのボタンを外し、コルセットを腰に巻く。コルセットの紐をセバスチャンがぎゅっと引っ張り締めるとタンスの手前からドロワーズやパニエ、ミニドレスなどを出してくる。
赤いストレートのミニドレス。腰の右側にはリボンがつけられていて、胸元は首まで覆い尽くしている。
髪はそのまま落としたままでセバスチャンがクシを通す。
「朝食が終わったら先日女王陛下から預かった手紙の話をするわよ。私と一緒に書斎まで」
「御意」
セバスチャンは跪きこうべを垂れた。