第2章 犬
「んん…」
静かな朝。窓から差し込む光が優しくアイリーンを起こす。紅茶の香りが鼻孔をくすぐりこれぞ貴族の朝だろう。
「おはようございます、昨夜はよく眠れましたか?」
青のラインに花の模様が描かれたティーカップに綺麗な紅茶色の紅茶が注ぎこまれる。
アイリーンはセバスチャンから紅茶を受け取ると紅茶を一口含む。
「…昨夜…」
昨夜の出来事を回想する。たしか劉とアイゼンと会食をした後、劉が使用人と間違えられて女王から手紙をもらっていた。そして疲れたと言ってベッドに寝転がった。
「あ!昨日のあれ!あなた、昨日はどうしたのよ、急に私の首舐めたり、 して…」
アイリーンが恥ずかしそうに顔を伏せて首筋を触る。
「言いませんでしたっけ、テストだと」
「本当にテストなの?」
紅茶の水面に複雑な表情をうつす。
「ええ、テストですよ。ただのね」
セバスチャンがアイリーンの手からティーカップを回収する。
「そう…」
名残り惜しそうにアイリーンは首筋を触る。触ると昨夜の甘い痺れが蘇ってくるようだ。
「気持ちよかったんですか?」