第11章 Who is it that I need?
「おはようございます、お嬢様」
「ん…おはよう…」
私は目を擦ってゆっくりと起き上がった。
そういえば何だか左側にスペースがある気がする。
「レイ様は先程お帰りになりました。婚約は破棄ということでお嬢様に言われた通りに伝えておきました」
「そう…」
これでいい。
彼は私を愛してくれていたけれど、私は彼を愛せない。
彼を傷付けてしまったことに変わりはないけれど、私の事は忘れて別の人と幸せになってくれたらいいのだから。
私はセバスチャンから目覚めの紅茶を受け取り、1口飲んだ。
芳醇な甘いストロベリーの味がする。
「本日はストロベリーティーに致しました」
「こんなのもあるのね…美味しいわ」
「では明日はオレンジティーに致しましょう」