第11章 Who is it that I need?
「セバスチャンはただの執事なんだろう?この屋敷を1人でやりくりしているという点はすごいと思うが、お前にアイリーンの何が分かっているというんだ」
俺は自分が思っているよりも腹が立っているみたいだった。
語気を鋭くしてセバスチャンに言ってみるが、セバスチャンはわざとらしく考える素振りを見せるだけの余裕をこしらえていた。
「…私は執事として誰よりもお嬢様に寄り添って参りました、少なからずレイ様よりかはお嬢様のことを知っていると思いますよ」
「それでもたかが執事だ。お前にアイリーンを愛する権利などない。この婚約を破棄して困るのはそちらだ、それを分かってお前はこの婚約をまだ破棄すると言うのだな」
「えぇ」
何なんだ、この執事は。
せめて彼女の口から断って欲しい、でもきっと彼女なら良いと微笑んでくれるはずなんだ。
俺たちは愛し合っているはずなんだ。
チリンチリン
ベルが鳴った。
「お嬢様が私をお呼びになりましたので、この話はこれで。タナカ、見送りを」