第11章 Who is it that I need?
「え…?婚約は破棄?」
起きて談話室に行って、おはようございますと言われた次の言葉がこれだ。
『婚約を破棄いたします』
俺は座っていたが、クラクラと目眩がしてきた。
ぐにゃりと視界が歪む。
「はい。破棄いたします」
目の前の顔が整い、美青年な執事は口元に人あたりのいい笑顔を浮かべている。
「なぜ…」
「理由はお答え致しかねます」
「昨日、俺と彼女…アイリーンは愛し合って、お互いに好きだということを確認したんだ、セバスチャンはその後のアイリーンに会ってないんだろ?せめて彼女が起きてからにしてくれ」
確かに俺は彼女と昨日の夜、愛し合ったんだ。
同じベッドで寝て、起きたら朝そこに彼女がいた。
幼いころから抱き続けていたこの思いがやっと届いたんだと思っていたのに…
彼女はそうではなかったということなのか…?