第1章 一輪の花
「終わった〜?伯爵〜」
袖をひらひらさせた劉が呑気そうにパイプでタバコを吸いながら食堂に入ってくる。
「終わったわ」
「これでまた我の仕事がやりやすくなったよ、谢谢」
アイリーンは紅茶をすすると劉の持っている手紙に目をやった。
「劉。それは?」
「ああ、白ずくめの青年たちが我を使用人と間違えて渡してったんだよ〜なんだろね」
セバスチャンは劉から手紙を受け取り、手紙をまじまじと見る。
「お嬢様、女王陛下からです」
蠟印を外すとアイリーンは手紙に目を通す。
「…セバスチャン、この手紙の話はまた明日に。私は疲れたからもう寝るわ」
アイリーンは立ち上がり、食堂をあとにする。
劉はセバスチャンの肩をぽんと叩くと耳元で呟いて、劉も食堂をあとにした。