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【黒執事】壊れた貴女を看取るまで

第11章 Who is it that I need?


「セ、セバスチャン…?!」

悪魔がそこでわらっている。
セバスチャンは私の方に向かって歩いていたと思ったら消えて、私を後ろから抱きしめてきた。
その後ろではレイが寝ている。

「いつお気づきになるのかと思い、焦燥感にかられてしまいました」

熱の篭った声。
背中がゾクゾクと震えた。

「だめ…そこにレイがいるから」

「これはお仕置きなのですから、やめませんよ」

「ひゃっ…」

セバスチャンがわざとらしく耳を舐め上げた。
整えたネグリジェに蛇のようにするりと太ももを冷たい手が這ってくる。

「お嬢様は…ご自分が当たり前に幸せを掴めると考えていらっしゃったように思えたのですが…どうです?」

ネグリジェがまくりあげられて外気がこそばゆい。
私は膝を擦り合わせた。

「…レイと博物館を回っている時はそう思っていたわ。でも、違うの。私の手はもう黒いもの…」

私は自分の手を見つめた。
倫理に反して闇に手を染めた。

「ええ…そうですよ。お嬢様は私と出会ってからずっとそう…」

「っあ…」

首筋にセバスチャンがキスを落とす。

「今日、彼に手を握られた時…戻れるんじゃないかって思ったわ。でもダメなの…私には暖かくて物足りない…」

私はセバスチャンの手を握った。
冷たくて血が通っていない手。

「この手がいいの」
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