第11章 Who is it that I need?
横でレイが眠っている。
決して彼が薄情な人間な訳ではなく、なんとなく起きてしまったのだ。
ーやっぱりダメなのね
レイに抱かれても消えないこの胸の軋み。
どうして…
こんなときに思い浮かぶのは悪魔の顔だった。
こんなに暖かい人に抱かれていたというのに、私は冷たくて暗い、決して私を愛さない人を求めてしまう。
私にはきっと、眩しすぎたのね
あなたがあまりにも普通の人だから、私みたいな汚くて淀んでいる人では釣り合わない。
もう私は普通の幸せを掴めやしない。
今日それが分かった。
人を殺して、悪魔を呼び出しているのに、普通の人と同じ人生を歩もうだなんて考える方が馬鹿だったのよ。
心にぽっかり穴が出来たようだった。
知らぬ間に涙が頬をつたい、止まらない。
私は起き上がって必死になって涙を拭った。
彼はかなり深い眠りについていて目を覚まさない。
今、覚めて後悔するのも苦しくなるのも彼なのに目を覚ましてほしいと願ってしまう。
「お気づきになられましたか?」