第11章 Who is it that I need?
コトン。
静まり返った書斎にペンを置く音だけがした。
「…レイ?」
「3年ぶりに会って、気持ちが固まったんだ」
「わっ、私ちょっと…」
「待てない」
レイに手首を掴まれる。
「アイリーン、君のことが好きだ」
私は振り返った。
レイの目は本気だ。
手首を握る手に力が籠っている。
引き寄せられて、私は腰をレイに抱かれる。
「待って、レイ、」
「君は俺のことが好きか?」
本棚に手をつかれて、私はとうとう逃げられなくなった。
「…分からないの。あなたとしゃべるのも手をつなぐのも全て楽しかったわ」
でも…なぜか足りないの。
「この辺りがくるしいの」
私はネグリジェの胸元あたりを握った。
「それは恋だ、アイリーン。君もきっと俺のことが好きなんだ」
私は首を横に振った。
「そんなの分からないわ」
「…なら、分からせてやる」
唇が重なった。あまりにも唐突で私はレイの胸板に手をついて押し返したかったが、その手を握られて、熱く、情熱的に唇を重ねられると抵抗する気も失せてくる。
「これ以上するなら…寝室に」
そうしたらきっとこの胸の痛みもなにもかも分からなくなる。
あの悪魔の呪いからも解放される。
きっと