第11章 Who is it that I need?
「で、タナカこれはどういうこと」
私は少し不機嫌だった。急にセバスチャンが私になんの断りもなしに男を連れてくるだなんて今までになかったことなのだ。
書斎の椅子に深く腰をかけて足を組み、タナカの淹れた紅茶を飲んで窓際に体をむけた。
「レイ侯爵はお嬢様の婚約者候補として本日はお尋ねになられたのですよ」
「は?」
思わず顔をしかめた。
タナカは柔らかい微笑みをたたえてままだ。
今更になってどういう意図なのだろう。
「もうそろそろお嬢様も婚約者を見つけてもよいころなのではと私が思いまして」
「…セバスチャン」
ノックもなしにずかずかと書斎に入りこみ、タナカの横に並ぶ。
「本日のご予定はレイ様との街の御観光をなさっていただきます。私もお供させていただきますが、よろしいですね?」