第11章 Who is it that I need?
「こんにちは」
翌日、寝ぼけながら朝食を食べている私の目の前に好青年が現れた。
しっとりとした濡れた黒烏の翼のような髪にまっすぐ光る碧眼。
体つきはセバスチャンに劣らずがっしりとしており頼りがいがありそうだ。
しかしセバスチャンよりかは少し背は低い。
身なりの良さからして高い身分だと言うことが分かる。
髪色と合わせた黒のスーツの胸元に光る金色の勲章。
ぼんやりと脳をよぎる記憶。たしか3年前のパーティーで…
「レイ・オーガスタス侯爵ではありませんか!どうして急に」
私は驚きのあまり立ち上がった。
ガタン!と大きな音を立てると侯爵は困った様子でいた。
「オーガスタス様、お部屋にご案内します。お嬢様はタナカから説明を受けてください」
「は、はあ…」
そう言うとタナカが優しい老人の微笑みを浮かべた。