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【黒執事】壊れた貴女を看取るまで

第1章 一輪の花


アイゼンはお手洗いから戻っていた。時刻は7時55分。

ーあと5分だ。

食堂の扉を開けようとするが、セバスチャンがアイゼンの気配に気付いてそっと扉を開ける。

「おや、劉様は?」

「用事があるとかで先に失礼させてもらうと言っていました」

そして自分の席につき、再び時計を見る。7時56分。
セバスチャンは台車をひいてきて、ティーカップに紅茶を注ぐ。

「アイゼン様のお口にも合いやすいようにドアーズをご用意しました」

アイリーンの前におき、そしてアイゼンの前にも置く。アイゼンはティーカップの持つと一気に紅茶を喉に流し込んだ。

「本日のデザートは我が屋敷の菜園で採れたラズベリーを使用したラズベリーパイをご用意しております。我が主人の希望により、この切り分けられたパイの中にはあるものが入っております」

セバスチャンは笑顔でそう説明すると切り分けたラズベリーパイを2人の前に置く。

「あるものとは?」

「僭越ながら秘密でございます」

「子供は常に新しいものを欲しがっている。こうしてゲーム感覚でパイを楽しむのも面白いでしょう?」

はっとアイゼンは笑う。7時59分。

「たしかに…ガキが考えるようなことだな」

「なに?」

アイリーンの目つきが鋭くなる。

「俺はお前にうんざりしてたんだ!武器を密輸しようにも港のやつらは女王の番犬が怖いといって密輸出来ねぇ!お前みたいなのがいると非常にやり辛い…だからいまここで消さしてもらう!くたばれ、女王の番犬!!」

アイゼンが机の下に潜り込む。
銃声の雨。アイリーンの頭や肩を打ち抜き、倒れる。

「お嬢様!」

駆け寄ったセバスチャンの胸や首にも銃弾が襲いかかり倒れる。
しばらくの銃声。そして静まりかえった食堂。

「ふははは、ははは…やった…やったぞ、女王の番犬を仕留めてやった!これで俺が新しい裏社会の秩序だ!」


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