第10章 綺麗な白色
「確かにお嬢様のおっしゃるように人間の魂は私にとってただの食事でしかございません。ましてや、その食事の容れ物である肉体などは愛する方が馬鹿らしいと思っておりました」
セバスチャンが私の目元にあてていた両手の手首を優しく掴んでそっと指を絡めてくる。
「しかし、その容れ物に少しばかり愛らしいと思ってしまう私も馬鹿のようですね」
「え…」
セバスチャンは困ったような微笑みを私に向けてくる。
私はその言葉に顔をあげると驚きで目を見開いた。
「私の失態をお許しくださいませんか?」
「ずる…ばか…」
セバスチャンの襟元、リボンタイを掴んで胸元にうずくまった。
負けた。
このまま怒り倒してセバスチャンが全力で許しを乞う姿を見たかっただけなのに、私が負けた。
「さあ、お嬢様。もうそろそろお時間でございますから、お着替えをいたしましょう」
セバスチャンが一旦外に出ると数着の服を持ってきた。
白のブラウスに襟元のフリルが可愛らしい。スラックスは膝上までの長さで、ひざ下にガーターベルトをつけて靴下をとめる。
上着はスラックスと同じ色の紺色た。
「もう泣くのはやめにいたしましょう。全てを終わらせてから罰は受けますので」
私の髪に茶髪のウィッグを被せる。
「…そうね」