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【黒執事】壊れた貴女を看取るまで

第9章 牙


私は部屋にいるお兄様にお茶を届けようと階段を登っています。
若くしてこの教会の牧師となったお兄様を私は尊敬してます。

「あ…」

鏡に首筋のキスマークがうつりました。私はお兄様を尊敬していると同時に愛してもいます。昨日のように情熱的に交わるのも大好きなお兄様とならいくらでも出来る気がします。
お兄様が与えてくれた修道服、名前、居場所。
大好きなお兄様が与えてくれたものは何でも大好きです。
でも、私は最近悩みを1つ抱えています。
そうこう考えているうちにお兄様の部屋の前にやってきました。
すると薄く開いたドアから私の嫌いな声が漏れていました。

「んっ…牧師様あ…」

私は思わずドアの前で立ちすくんでしまいました。
なぜ他の女の声がするのでしょう。その答えは1つしかありません。お兄様のせいです。
私たちは正真正銘の血の繋がった兄妹ですが、年が幾分か離れており、両親とは死別しています。
私を産んでなくなった母の代わりにお兄様がマーガレットという名をつけてくれました。
普通、兄妹は性交するような存在ではないです。神もそれは穢れだとし、大罪としています。
ではなぜ大罪を犯してまでも私はお兄様と性交するのかと言いますと、お兄様がセックス依存症なのです。
誰かと一体になっていないと不安になる、といい私は幾度となくお兄様と肌を重ねました。
どうして私だけじゃいけないんでしょうか?
お兄様のことを深くまで知っていて愛しているのは私の方なのにどうして他の女と肌を重ねるのですか?
そしてまた、その白を纏わない女のなかを貫いたもので私を抱くんですか?
どうして、どうして私の愛情はお兄様に届かないのですか?
途端に涙が溢れてお盆にパタパタッと音を立てて落ちました。
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