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【黒執事】壊れた貴女を看取るまで

第8章 変化


「何度も伝えるって大事よ。それが例え無意味でもいつか絶対に報われるわ」

リジーが太陽のような笑顔を私に向けた。その笑顔を見たら複雑な感情も、どうにでもしてしまいたい感情も消えて行く気がした。
刹那。
ー何度でも言ってあげる。
私の耳に誰かの声が乱入してきた。この声は私が書庫で聞いた声に似ている。
でもお酒で回りきった頭では何も考えられず、私はまたウイスキーを喉に流し込んだ。

「リジー!あなたはまた…!」

「お母様だわ」

気の強そうな夫人が私たちに向かって呼びかけた。リジーが慌てて立ち上がると私の頰に小鳥のついばみのようなキスを落とした。

「また、会いましょうね!」

可愛い笑顔。私も立ち上がってリジーを抱きしめるとおでこにキスを落とした。
そしてそっとリジーの頰に触れて柔らかく口角を上げた。

「ええ。いつか」

私がそう言うと元気よく返事をしてリジーはお母様の元へと走っていった。

ー私も変わらないと。

人の一生はあっという間。どうせならやり尽くして死のう。バーカウンターに足を運んで私はメニュー表を開いた。
たくさんの種類を取り揃えているこのバーカウンターに私の求めているものはあるのだろうか。

「あっ、マスター。これを」

「かしこまりました」

残り少ない人生を謳歌してやろうじゃないの。
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