第8章 変化
私が紅茶をポットに注いでおりますと、ベルが二回ほど鳴りました。すぐさまとこからのベルか確認すると、お嬢様の部屋からでした。
どうやらお嬢様が起きられたようです。
私は身なりを整えてワゴンを押し始めました。
先程、起きられたような気配がしたので起きられたかとは思っておりましたが、すぐにベルを鳴らすとは思っておりませんでした。
「失礼いたします」
ドアをノックし、部屋に入るとお嬢様が体を起こしてぼうっと私の方を見ておりました。
起きたてなのでしょう。私はベッドのすぐ横にワゴンをとめてティーカップに紅茶を注ぎました。お嬢様がティーカップを受け取るとすぐにそれを飲み干されました。驚きです。私は目を丸くしてしまいました。
「すっきりした…あんなにしんどいの久しぶりだわ」
「疲れでも溜まっておられたのでしょう。今日のご予定は全てキャンセルしておきましたので、ゆっくりお眠りください」
お嬢様は私に空になったティーカップを渡すとまたすぐに眠り始めました。寝てもねても寝足りない。そういった雰囲気に私には見受けられます。お嬢様を起こさぬようにゆっくりとワゴンを押して静かに扉をしめました。
次は夕食の準備です。私は厨房へと戻りました。