第8章 変化
気付けば私は馬車の中で横たわらせられていた。エリの膝の上ではなく、セバスチャンの膝の上でもあった。
ゆっくりと起き上がると頭に貫くような頭痛がして思わず顔をしかめた。
「私は一体…」
「劉様のお店を出た後、倒れられたんです」
「大丈夫?」
エリが私のおでこに手を当てる。温かい血が流れている手がおでこにあたり、私はそっと身を任せた。
どうにも頭痛が抜けなくてつらい。体もだるくて喉も渇いている。
「頭が痛いわ…この後の公務は全部キャンセルにしてくれない?今日はもう休みたいのだけれど」
こんなに体がだるいのは久しぶりだ。私は今までにも体が強い方だったから風邪でもひかない限り、しんどいとは思ったことがない。
私はもう一度セバスチャンの膝に倒れ込むとまぶたを下ろした。
「かしこまりました」
「じゃあ僕はここでお暇するよ。馬車だけチャーターしてくれないかい?」
「承知致しました」