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【黒執事】壊れた貴女を看取るまで

第8章 変化


すると馬車が止まり、従者が扉を開ける。沈黙が長かったのか短かったのかはわからないが、普段よりも早く着いた気がした。
セバスチャンが降り、エリが降り、そして私が降りると目の前にはいかにも怪しげな中国風の看板とアーケードがある。
たくさんの中国から取り寄せた飾りが垂れ下がっており、それを手で優しく払いのけつつ店内に入る。
ビーズで出来たのれんをくぐると一気に濃い蒸気のような鼻にまとわりつく空気が私たちを囲んだ。

「劉!」

私が劉を呼ぶ。彼を探して辺りを見回してみるが、長方形の絨毯に寝転がり、パイプや巻きタバコ、煙管などそれぞれのスタイルでアヘンを吸っていた。何人かはすでにぶっ飛んでいたが、横に待機している細くて長い足をチャイナドレスからはみ出させた女の子がヌンチャクで頭を叩き、鎮めていた。

「おや〜、伯爵じゃないか。来るなら来ると言っておくれよ〜」

長い袖を揺らして劉が煙の影から出てくる。劉の反対側には藍猫(ランマオ)と呼ばれている中国美女が佇んでいた。

「藍猫に言ったわよ。直々にこの私がね」

私は呆れた顔をして見せて劉に言った。劉が藍猫の顔を見ると藍猫が静かに頷いた。

「あちゃちゃ。うっかりしていたようだね、あれかな?定期視察?」

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