第7章 無意味なひと
「さて、あなたにはいくらか聞きたいことがあるわ」
私はセバスチャンから持ち手が銀色で装飾されたナイフを受け取り、オリオットの足にあてた。
アンモニアの臭いが立ち込めて臭い。
「一つ目。あんな兵力そうそう一日では揃わない。私がこのパーティーに来るということを見越してのことだったわね。誰から指令を?」
「…答えられな、ああああっ?!」
私が一気にオリオットの足にナイフを突き立てる。刺し口から血が溢れてカーペットに染みていく。
「そういう言葉は聞いてない。さ、誰から?」
「だから答えられなっ、ゔあああ!」
刺したナイフを抜いてそこにロウソクの火をつける。傷口に広がった炎は今でこそ威力は弱いが、傷口を完全に焼いてしまえば後は早い。
「寿命へのカウントダウンは始まっているのよ。早く答えたらどうかしら」
「こだえるっ!ごだえるがらあああ!」
美しい顔が恐怖と苦痛と屈辱で歪みに歪む。ピカソが描きたかった顔はこれではないのだろうか。
「誰から?」
「ロゼ・セザンヌゔゔ、ぁついあついあつい!」
「目的は?」
「私は、ただ『あいつを消せ』としか知らないいいい、ほんとうだっ!」
足の付け根まで炎が広がる。オリオットはジタバタと地面にあげられた魚のようだった。
「…ロゼ・セザンヌね。さ、セバスチャン帰るわよ」
「御意」