第6章 なか
「では、気を取り直して。こちらをどうぞ」
セバスチャンが大広間の扉を開けるとパン!パン!と破裂する音が聞こえたかと思えば目の前に金色のテープや銀色のテープなどが宙を舞っていた。
広間を見回すとシャンデリアはいつもよりも丁寧に磨き込まれたのか眩しい輝きを放っており、全体が赤と金色でまとめられておりとても豪華に見える。
リボンがいろんなところから垂れ下がっていたりして、これらはきっとメイリンやフィニがしてくれたのだろう。
黒焦げのメインディッシュもバルドが一生懸命作ってくれたのだろう。
そう思うと目頭が熱くなり、ぽろぽろと涙がこぼれた。
「ステキ…とてもステキだわ、みんなありがとう」
両親が死んでからというもの正直自分の誕生日なんてどうでもよかった。
自分の家を滅ぼそうとした相手さえ見つけれればそれでいいと思っていた。
でもこんなにも心が暖かくなるなんて。
どんな夜よりも暖かい。
「今日は無礼講よ!」
グラスとグラスのぶつかる音がしてパーティーが幕を開ける。夜は短い。だからこそめいいっぱい楽しまなくては。
たった五人しかいない屋敷はその夜、どんちゃん騒ぎとなった。