第6章 なか
「セバスチャン、今日はありがとう」
シルクのネグリジェを着てベッドに入ったアイリーンは微笑んでセバスチャンにお礼を言った。
「楽しんでいただけて何よりです。時にお嬢様」
セバスチャンがかがんでワゴンから紺色の紙袋を取り出す。
「2人きりになってからお渡ししようと思っておりましたので、遅くなってしまいましたが…、お誕生日おめでとうございます」
アイリーンは紺色の紙袋を受け取ると、中の箱を取り、開けてみる。
するとピンクの液体が入っている小さな小瓶が入っていた。
「これは?」
「香水です」
ー嬉しい。
ぎゅっと小瓶を抱きしめてアイリーンは天にものぼりそうだった。
「ありがとう、どんな香りでも嬉しいわ」
セバスチャンはにこりと笑い、ロウソクの火を消す。
「おやすみなさいませ、お嬢様」
脈打つ鼓動は一向に収まってくれそうにない。嬉しくて嬉しくて涙が止まらない。
そうか、こういうことだったのか。