第1章 芽生えた気持ち
安室side
最近、毎日のように夕方になる時間帯に訪れる女の子がいる、気さくで笑顔の耐えない無邪気さが、闇の中を歩く僕の心を癒してくれていた。
しかし、そんな彼女がパッタリと姿を見せなくなった。
最初は恋人でも出来たのだろうかと思っていたが、そんな素振りはしていなかったし、恋愛自体に興味があるのか不思議に感じていたから
だから僕も気付いていなかったのだ
君と会えなくなるまで
君という存在が、どんなに大きくなっていたか
心の中に芽生えたこの感情をずっと否定し、過ごして来たというのに、まさか一回りも離れた女の子に
この僕が?
正直、受け入れるべきではない感情だと割り切るつもりだった
なのに・・
「ねぇ、安室さん。姉ちゃんと会ってきたら?」
「!?・・コナン君、急にどうしたんだい?」
「ほらまた、そんな作り笑顔じゃ皆は騙せても僕には分かるよ。」
「・・・・行く気はないよ」
「どうして?」
「君にも分かるだろ、今の状況で女性に目を向ける余裕はない、それに・・」
「組織の奴等に、彼女を近付けたくはないから、だよね?」
「・・ああ、そうだよ。」
ポアロが休みとあり、カウンター席に座ったコナンと安室は気がねなく語れた
大切な人等必要ない
危険な世界に、あの無邪気な笑顔を巻き込みたくはない
それが安室の本音
そしてコナンもその気持ちは分かる
それでもここへ来たことには理由があった
コナンは安室が入れてくれたアイスコーヒーを飲み干すと、席から腰を上げ出入口へと向かい歩きながら扉に手をかけたところで振り替える
「安室さん、巻き込みたくはない気持ちは分かるけど、姉ちゃんも安室さんと同じ顔をしていたよ。」
「!?」
それ以上口にすることなく
コナンはご馳走さまでした、と出ていった
安室は一人残されたカウンターに顔を伏せると苦笑いを浮かべる
「同じ?・・なら・・僕はッ」