第1章 芽生えた気持ち
言われて目線を向けた先に、安室はいた
愛車である真っ白い車から下りた安室は校門の前から此方を見上げるので、自然と目が合う
「!?」
「あっ!?」
気付いた時には教室から鞄片手に飛び出したは、真っ直ぐに安室のいる場所迄かけていた。
何故、高校に安室がいるかは知らない
でも、久し振りに目にした安室の姿に、体は動いてしまったのだ
「はぁ・・はぁ・・」
「お久しぶりです、さん」
「安室さ・・ん・・ッ」
乱れた呼吸を整えながら安室の前に立ったに、安室は優しい笑みをくれた
「学校に、何のご用ですか?」
「学校ではなく、貴女に会いに来ました」
「へ?」
言われている意味が分からず、頭が混乱する余り、まの抜けた声を発したの腕を安室は掴むと歩きだす
「あ、安室さん?」
「場所を変えましょう」
言われて見れば、周りは下校する生徒がごった返し、注目のまとになっており、が赤面して腕を振りほどこうとしても、安室は離してはくれなくて、流れるようなスマートなリードにより助手席に乗せられてしまうと、安室は運転席へと腰を落ち着かせた
「シートベルトを付けて下さい」
「えっ、あのはい!シートベルト・・」
焦りからシートベルトがなかなかストッパーに入らずに、四苦八苦しているの隣から安室は腕を伸ばしはめてくれたが、その至近距離に赤面したに安室はクスリと笑みを浮かべると、静かに車が走り出した
「あ、あの・・」
「はい」
「何処へ向かわれているのでしょうか?」
「目的地ならありませんよ」
「えっ?」
「僕は、貴女とお話しをしたかっただけですから」
「私と・・お話しなんて、面白くもないですよ」
「…さん、何故ポアロに来てくれなくなったのですか?』
「…ッ」
まさかそんな事を聞かれるとは夢にも思っていなかった
だって、安室は誰にでも優しいウェイターさんで、探偵で、格好いいから女性にも大人気だから
だから、好きだと自覚してしまった時から
ポアロには行けなくなってしまった
行けば、貴方は笑顔で迎えてくれるから
期待をしてしまうから
そんな自分が怖い・・