第2章 2 池袋
平和島静雄さんというのは一体どのような能力の持ち主なのか、そしてこの明らかに学園都市内部とは言い難い街に唯一の仲間ともなるかも知れない。
一成は期待に胸を膨らませ騒ぎの中心へと走っていった。
そこは危ないので決して多くの人が集まっている訳ではないが、背伸びをして見ようとする人がいるほど。
携帯で撮影をしている人もかなり多くいた。
「すみません、すみません…」
狩沢に返し忘れている水を片手に、悲しい持ち前の小柄さを生かしなんとか前へと入り込む。
(一体どんな能力なんだろう…、僕と同じ念動力系?それとも身体能力系?はたまた重力?)
わくわくしながら開けた視界は驚きのものだった。
平和島静雄と見られる金髪のバーテン服の男性が長いガードレールを振り回し黒髪、黒いズボンに黒のジャケットという黒い印象の男性と死闘をしていたのだ。
その黒い男性は、怒涛の死闘にも関わらず平和島静雄の攻撃を避けつつ時たま攻撃をしかけようとする余裕もある様子だ。
(この身のこなし、平和島静雄さんと同レベルとは言い難いが渡り合うなんて…。それなりの能力があるんだろう………)
一成は初めて見る能力者同士(一般人同士)の死闘に釘付けになっており、まるでアニメや映画のような画面を観ている気分だった。
「君!そこは危ないぞ!」
一成はあまりにも戦いを食い入るように見ていたので本当に画面を観ている感覚だった。
故に段々死闘はこちらへ近づいてきており周りの野次馬もうまく距離を取る中一成はぼうっと見ていたのだ。
「えっ………………?」
ガンッ