第2章 2 池袋
「本当に僕のところに連れてきて正解だったと思うよ、いろんな意味でね」
その日の夜、一度仕事に戻って新羅の家に戻ると新羅は家具をずらして一成を床に寝かせた状態で処置を行った後だった。
そして処置された一成は上半身は裸に布をかけられた状態で「ぐるぐる巻き」という言葉しか出ないような姿で眠っている。
二人はテーブルに座って一成を見守りながら会話していた。
「正解だった事まず1は静雄についてだね。君は臨也との殺し合いの最中にこの子にも非はあったかもしれないけど、普通に病院に連れて行ったんじゃ世間的に君が10悪い事になるからね」
静雄は「まあ確かに」と言い自分の事をわかってはいる様子ではあった。
そして逮捕なんてことになったらそれこそ臨也の思うツボだよね!と言いそうになった新羅は喉のあたりで慌ててそれをかき消す。
「えっと、で。2つ目は1つ目とほぼ同じだけど体、特に頭部の打ち身と倒れ込んだ時の地面との接触による多量の出血、右腕の骨折って・・・まあまあの怪我だから間違いなく警察いきだったろうね。でも静雄の一撃でこれで済んだのも最高の幸運だろうけどね」
ウィンクをして告げる新羅をうざそうな顔をしながら睨む静雄。
「そしてそして、これが一番大きな理由になります」
そんな静雄をよそに新羅は立ちあがりあるものをテーブルの上に置く。
「こりゃあ、あいつの着てた制服と・・・学生証か?」
置かれた腕章のついた制服と学生証を静雄は覗き込む。
「こんな制服も学校名も知らないし、調べたけどそんな学校は出てこなかった。そしてなぜか制服は全体的に少し濡れていた」
「?どういうことだ、濡れてたのはわかんねえけどコスプレとか?」
一向に核心を言わない新羅に少しイラつきを見せながらも「皇 一成・・・」と学生証を見つめる。
「仕方ないから知り合い(臨也)に半日かけてこの子の顔で探させてみたんだけど」
「この子どうやら籍が無いそうだよ」