第1章 いい加減。
意外と会話が弾んで少しの間話していると、一二三さんが腕時計を見る。俺もスマホを見て結構時間が経っていることに気付く。
「あ、乗ってかない?」
「いいんスか?」
こんなに付き合わせちゃったからね、と言いながら車の鍵を開ける。つか、ハリアー乗ってんのかよすげぇな。
「ハリアー乗ってるんスね」
「そッ! ローン組んで買ったのー」
俺が助手席に乗って一二三さんの方を見るとすげぇカッコいいこのヒト。
んでナビに俺ん家の住所を設定して、音楽を選んでる一二三さんの胸にシートベルト食い込んでてちょーエロい。わざと強調してんじゃねぇーかってオッパイを凝視していると、
「ねぇ、聞いてる?」
俺の視線に彼女が目を合わせてクスクスと笑う。
「音楽は適当でいい?」
「いい、スよ・・・」
言葉を詰まらせながら応えると「じゃ、これね〜」と聞いたことある曲が流れる。
あー、なんだっけコレ?
「フンフーン♪」
鼻歌を歌いながら運転している彼女を見て綺麗なヒトだと改めて思う。
「二口くんってさー、彼女いないのー?」
赤信号で止まって俺と視線を合わせる一二三さんが唐突に質問してきた。