第1章 いい加減。
「ん?」
歯医者を出てちょっとしてポケットに入っているはずのスマホが無いことに気付く。
やっべ。歯医者に連絡しようにもスマホねぇし!
つかアソコの歯医者って21:00までだから俺が最後の患者っつーことかよ。
「クソッ!」
アレがねぇといろいろ不便だから取りに向かうため走り出す。ひょっとしたらまだ開いているかもしんねぇし!!
「ハァッ、ハァッ・・・」
やまいし歯科医院に着いたのはいいが外電が消えているし、人の気配が無い。あー、ほんとクソ。
踵を返して家に帰ろうとした時、
「二口くん?」
一二三さんが俺のスマホを持って駆け寄ってきた。
「よかった。あと5分待って来なかったら帰ろうかと思ってたの」
はい、どーぞ。と俺にスマホを手渡してニコッて笑う一二三さんの私服は胸元がVネックの半袖ワンピースに黒いストッキングっていうエロい格好で、いろいろとヤベェ。
「すごい汗かいてるね。走ってきたの?」
「そりゃ、大事なモンだし・・・」
「そっかー、待っててよかった。」
クスクス笑う彼女はやっぱり大人のオネエサンって感じの人で俺は少し目をそらして話す。