第2章 結局、
「ひ、ふみさん?」
俺を見下す一二三さんの目が恐ろしい。
そして俺の右肩近くにある一二三さんの手がシートを掴んでいてミチミチとレザー素材のカバーがシワを寄せている。
「さっきから突っかかって、そんなに私がムカつく?」
「い、いや、そんなコト・・・」
顔を近づけて一二三さんとの距離が近くなって冷や汗が流れる。
顔が綺麗だからこんな状況でドキドキしている俺は目をそらす。
「・・・・・ふふっ」
突然口元を手で抑えてクスクスと笑っているから思わず「は?」っ呆けた顔をしてると
「よかったー! 歯石取ってる時痛かったから腹いせされてんのかと思った。」
ポンッと俺の頭を撫でると運転席に腰掛ける彼女に呆気にとられる。
って、また口の中のことかよクソっ!!
あ”ー!!
ほんとにムカつく!!!
自分の頭を乱暴に掻きながらチラッと一二三さんを見ると目が合ってニッコリと優しい笑みを向けられてまた心臓がドキッとした。