第2章 結局、
「口開けてくださーい」
口の中に器具を入れてじっくり観察されるのは俺としては恥ずかしい。ましてや一二三さんだと特に。
「うん、前回より歯磨き上手にできてる!」
「じゃあ機械で掃除するから痛かったら手を上げて教えてね」
ミラーのついた器具で見終わったあと超音波と水の出る機械で口の中を掃除される。ちょっと心地良くて眠りそうになったが、
一瞬ピリッとした痛みがして思わず手を上げた。
「痛ぇ、」
「そっか! ごめんね。 下の前歯のウラに歯石ついてるから機械使わないで取るね」
一回ゆすいでーっとイスを起こされて紙コップに入っている水で口の中をゆすぐ。
「じゃあもう一回倒すね!」
「うス」
また痛いコトされんのかとちょっと嫌な顔をしてしまったが一二三さんが「次は痛くないから」と安心させるように微笑んでくれる。
前歯の裏っかわに器具を当ててカリカリと歯に当てている感覚がわかる。不思議と、本当に痛くなくて。
また頭にあの柔らかい感触があって、
不快感よりコッチに集中しちまう。