第9章 奥州
成実「おーい、政宗いるかー」
声をかけながら戸を開く
政宗「返事を聞く前に開けるな成実」
成実「わりぃな政宗、お前にお客連れてきた」
政宗「客?」
入り口から体をずらし招き入れる
萩「お久しぶりです政宗、元気してましたか?」
政宗「?誰だ?」
成実「へ?」
政宗の言葉に間の抜けた声が出た
政宗「その男は誰だと言っている」
成実「嫌々男じゃないし、萩は女だぞ」
政宗「萩?・・・・・ああ縁談の」
成実「え、縁談!いつの間に!?」
萩「確か5年程前だったと思います」
成実「えぇぇー俺知らないんだけど!?」
政宗「所でどうして男装をしている?」
叫ぶ成実を無視して萩に話しかける
萩「旅をしているのです少しの間お世話になっても宜しいですか?」
政宗「旅?一人で?」
萩「はい。昨日までは春日山城に居たのですが少々厄介な者に居場所がばれて・・・・・」
成実「えっ!春日山城って上杉謙信の所に居たのか!?」
小十郎「煩いぞ何を騒いでいる成実」
眉間に皺を寄せ小十郎が離れに入って来た
政宗「ご苦労だったな小十郎」
小十郎「いえ、野盗は今日捕まえた3人だけだそうです」
政宗「そうか、これで峠も安心して越えられるだろう」
成実「あっ!野盗といえば政宗は萩の弟知ってんのか?」
政宗「萩の弟?そう言えば兄と弟が居ると言っていたな」
小十郎「政宗様ご存じでは無いのですか?
萩様が政宗様なら知っていると仰っておりましたが・・・」
萩「あら、私言ってませんでしたか?
では、私の自己紹介からやり直しいたしますね
改めまして私は真田萩と申します」
居住まいを正しにっこり微笑み挨拶をした
政宗「・・・・・真田」
小十郎「上田の真田家ですか?」
萩「はい。真田昌幸の長女でございます」
成実「って事は弟は・・・」
政宗「真田幸村か」
萩「何日か前に京の小料理屋で幸村に勝負申し込まれていましたよね?」
政宗「・・・・なぜ知っている?」
小十郎「居ないと思っていたらお忍びで出かけられていたのですか」
政宗「・・・・・」
成実「まあまあ小十郎、息抜きは必要だぞ?」