第9章 奥州
小十郎「お前は抜きすぎだ仕事をしろ!」
成実「ちゃんと仕事してるぞ」
ニコニコと答える成実に溜息を吐く
政宗「萩、少しの間とはどのくらいだ?」
萩「そうですね・・・お邪魔でなければ一月ほどよろしいですか?」
申し訳なさそうにお願いをする
政宗「小十郎この後は?」
小十郎「野盗も捕まりましたし急ぎの仕事はありません」
政宗「萩、着替えは?」
萩「これしか持っていません。実は川中島の戦の時に謙信様に拾われてそのまま春日山城に行きましたので手持ちはこの刀だけなのです」
成実「ちょ、ちょっと待て、戦場にいたことにも驚いたけど『謙信に拾われた』って何!?」
萩「拾い物をするのがお好きみたいです
でも、人を拾ったのは今回が初めてらしいですよ?」
成実「嫌々『らしいですよ?』じゃ無いだろ!」
萩「なぜですか?」
訳が分からず小首を傾げる
成実「なぜって・・・だから、知らない男についてくのは危険だって、特に萩みたいな美人は気を付けないと身の危険が・・・・」
萩「危険?私その辺の殿方にはそうそう負けませんよ?」
成実「へ?いやそういう意味じゃ・・・・まあ確かに強かったけどさぁ・・・・・」
成実がぶつぶつ呟いていると
政宗「取り敢えず着替え一式を揃えねばな
小十郎、呉服屋に連絡して届けさせてくれ」
小十郎「かしこまりました
準備が整いましたらお呼びいたします」
そう言うと離れから出ていくと萩に向き直り
政宗「萩、頼みがあるのだが」
萩「頼みですか?私に出来ることなら喜んでお手伝いいたします」
政宗「ここに留まっている間、正室のふりをしてくれるか?」
萩「正室のふり?」
政宗「ああ、縁談を持ち込む家臣がいてな・・・」
ふぅっと溜息を吐く
萩「義姫様は?」
政宗「母上に対抗できるほどの姫はいない
奥州にきて怪我でもされたら戦の種だ」
萩「そうですか・・・」
成実「おい政宗!確かに萩は強いかもしれないが大丈夫か?相手は義姫だろ」