第7章 川中島
翌日早くに信玄たちは館を出発した
萩は赤い袴を身に纏い長い髪の毛は一つに括り男装をしていた
幸村「姉上、くれぐれもお気をつけ下さい」
才蔵「それって男装してるつもり?」
ため息が聞こえてきそうだった
萩「えー駄目かしら?」
佐助「萩は美人だからなー」
萩「ありがと佐助」
他愛も無い話をしていると
信玄「お前らお喋りはそこまでだ、行くぞ!」
幸村「はい!才蔵」
才蔵「はいよ、ついておいで佐助」
佐助「はい、先生!」
萩「いってらっしゃい」
皆を見送ると萩は静かに移動を始める
小高い丘に行き上杉軍、武田軍の動きを確認する
萩「信玄様は見えるけど謙信様はいない
もう少し上に登ってみましょうか」
急な斜面を登り少し開けた場所に立つが足場が脆かったのか崩れた
萩「えっ!落ちる!?」
幸村に怒られるわね
そんなことを考えながら目を閉じ体を丸め衝撃に備えるが
フワッと白檀の香りに体が包まれた
萩「あ、れ?痛くない?」
そっと目を開くとそこにいたのは
?「ふふふっ空から降ってきた君は天使かな?」
萩「天使?誰がですか?」
?「君だよ」
彼の上に落ちてしまったようで横抱きに抱えられていた
?「謙信様、そこで何をしてらっしゃるんですか!」
謙信「ああ、兼続聞いておくれ空から天使が降ってきたんだよ」
ほらっと抱きかかえている萩を兼続に見せた
兼続「確かに天使の様に可愛らしいですが、
なんでも拾わないでいただけますか?」
萩「拾う?私は謙信様に拾われるのでしょうか?」
小首を傾げて謙信に聞くと
謙信「拾ってもいい兼続?」
兼続「今度は人間を拾うのですか?貴方は駄目だと言っても連れてくるのでしょう?」
謙信「さすが兼続、よく分かっているね
戦は終わりにして春日山城に帰ろうか
ええっと名前を聞いてもいいかな?」
萩「私は名は萩、真田萩と申します。
謙信様、兼続様よろしくお願い致しますね」
にっこり微笑み名を告げた