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さにわのはなし【刀剣乱舞】

第7章 6:つうほうのはなし ※


相手本丸は演練時、足の速い男士を、
後衛のフォローのために後ろに置く癖がある。

そして相手本丸の審神者は、国広の言を信じれば
「戦闘の指示をしていない」。
だから、前任のよく使う陣形で来る、と読んだ。

先行した加州に長谷部と国広を追いつかせ、投石。
遠戦の混乱に乗じ、国広のみ別ルートから背後に回らせる。

そしてうれしい誤算。長谷部を投石で獲った。
なら次点で後方支援に回るのは、国広だ。
加州は偵察に長ける。任されるなら前方の警戒だろう。

そして結果。相手の山姥切国広に接触して、
戦線崩壊に追い込むまでの時間、わずか1秒。

国広自身をカメラで追っていない以上、
審神者の操作卓からはそれだけしかわからない。
あまりの仕事の速さに称賛の口笛を吹けば、
今しがた相手を切り捨てた本人から連絡が入った。

≪そういうのはいい。ほかの連中はどうなってる≫
「あ、聞こえてたか。もうすぐ長谷部がそっちに追いつくよ」

だからもうちょっと耐えて、と伝える。
相手の山姥切に勝った後、
国広は向こうの加州を相手に交戦していた。

「追いつかれたら担当を交代──あ、待って」

無線にアラート音が割り込む。
卓上をタップして、その内容を開いた。審判からだ。

「ちょっと待った急報! "直ちに交戦を中止せよ"って──」

言いかけたところで、交戦フィールド内にもアラームが鳴り響く。

≪演練中止だと? 急襲か≫
≪主、ご無事ですか≫

口々に部隊員からの連絡が入る。
それを聞き流しつつ、いきなりの連絡の内容を読み進めた。

「違う。急襲とかではないけど……
 向こうの審神者が、体調不良になったって」
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