第7章 6:つうほうのはなし ※
先行させていた前衛、加州より、
相手方の装備の報告が入る。
いずれも並。展開するまで兵種はわからない。
後衛の三騎はすぐ遠戦に備えられる構えで向かう。
有視界領域に相手部隊を捕捉。会敵。
…したはいいものの。
「遠戦装備なしか…」
あてが外れたが、驚いている暇はない。
操作卓の表示を見る。
「長谷部、撃たれないなら露払いを」
«畏まりました»
短い返事の後に、相手部隊の表示がいくつか消えた。
一つは男士。戦線崩壊だ。
あとは装備にかなりの損失。
並を相手に遠戦が効いたと見える。
フィールドカメラを少し変えれば、
拳ほどの巨石の直撃を受け、
髪を血に染めて地面に沈んでいる個体があった。
相手部隊の長谷部だ。
この出血は、頭蓋骨がイッている。
さらりと機動が厄介な男士を屠ったあたり、
極連中との戦闘のくせが出たか、とごちる。
極同士の殴り合いは、基本的に速い方が勝つ。
しかし今回の敵は特止まり。
後続の攻撃もすぐに入るだろうが、
さて、どう転ぶか。
戦場の表示を見守る。
操作卓の上で、国広の位置を示す光点が、
相手方の山姥切国広と重なった。