第7章 6:つうほうのはなし ※
戦闘領域内に男士を送り出し、
コクピットのような操作卓に腰を下ろす。
審神者が指揮を取るためのシステムを起動。
何千回と打ってきたID、パスワードを入力。
眼前の壁一面に、戦闘領域内の景色と、
男士のステータスが表示される。
「こちら丙午。第一部隊、聞こえてる?」
いつもの調子で呼びかければ、
クリアな音質で返事が6つ。
「今回のお仕事はいつもどーり、
目標の無力化。
勝利条件は、領域外にぶっ飛ばすか、
男士本体の生存を削るかです。
相手部隊が準備できしだい、
作戦行動を開始します」
«了解。いつも通りで、いいんだな»
お決まりの説明に、国広が低く念を押す。
相手の審神者の経験が浅かろうが、
手を緩めてやる必要は無い。
「いいよ。いつも通り、で」
そのいつも通りが、
人体を徹底的にバラバラにする
ショーのような戦い方でも。
「躊躇と恐怖がどう負けに繋がるか、
ちゃんと見せた方がいいでしょう」
どんなに不慣れでも、
遡行軍も検非違使も、
手加減などしてくれないのだから。
相手部隊が揃ったと通信が入る。
「それじゃ、索敵よろしく」
演練が、始まった。