第6章 6:つうほうのはなし
審神者の仕事は、
“見極め、切り捨て、生き延びる”。
この三つだと、常から主は口にしている。
混迷する戦場を、
正しい歴史を、
自陣の戦力を見極め、
敵も味方も、必要とあらば切り捨て、
最後まで生き延びて未来を掴む。
それが出来れば、審神者としては及第点だと。
だが。
「あの審神者、正真正銘の素人なんじゃないか」
引き継ぎ審神者は、戦場から目を逸らしていた。
あれでは見極めるも何もない。
そう伝えれば、
まさか、と苦笑混じりの言葉が返ってきた。
「あんな高練度の本丸、ド素人に任せるなんて、
戦力の無駄すぎない?
タダでさえブラック案件で痛手を被ったんだし、
人事も流石にそんなバカはしないって」
「……だと、いいんだがな」
楽天的すぎる主の答えに、ひとつ溜息をつく。
「それにね」
受付で手渡された刀剣を抱えて、
振り向いた主はにっこりした。
「仮にそうだとしても、
ちょっとここで学習してけば良いだけだし。
演練場では誰も折れない。
目を逸らしたツケを知るには、
ちょうどいいんじゃないかなって思うよ」