第5章 5
「まあ、主が禁呪を使っているかどうか調べたいなら、
俺は協力してもいいんだが…」
どうする? と三日月がこちらに目配せをする。
操られていないという自信が相当あるらしい。
"お前は道具だ"と、たった今、目の前で主が発言したにも関わらず、三日月は平然としていた。
刀剣男士は道具じゃない! 物じゃない!
そう言って政府の職員に食ってかかる審神者は過去に何度か見たが、こんな真逆のケースは初めてだ。
審神者は男士を道具であると断言し、
男士はそれに反論しない。
戦績を見る限り、この三日月宗近は――
――いや、おそらく彼女の本丸の刀剣男士は、
主の道具であることを、
なんら悪いこととは思っていないのだろう。