第4章 4
「あんたほどの刀を相手に渡り合って、
そのうち斬られるとするならさ、
それは単純に私がクソだったってだけのことだよ」
審神者の声に男士が応えたということは、とりあえず男士に認められたということでもある。
だから、ブラック本丸にはレアがやって来づらい。
ブラック本丸でレア刀を見たら、横流しを疑うのはもはや常識である。
そして、一度は認められた以上、信頼が地に落ちるまで、それなりに長い道のりと時間を要する。
なのに見限られるようなことがあれば、それはもう、本丸を預かる主としては、終わっているということだ。
「そしたらもう好きに斬っていいし、
他の主のところに行けばいい。私は止めないよ。
主従とか、仲間とか、家族とか。
そういう情で縛り付けて、あんたの力を殺すようなことは、
絶対にしたくないし」
大包平の目をまっすぐ見据えて、丙午は言いきった。
情に訴えるのは、"貴方のためには何も提供できません"と同義だ。
自分を守るために、日々戦場で命を張っている相手に対して、
とても贈れるような言葉ではない。