第4章 4
丙午より、大包平のほうが、力も霊格も高い。
そんなことは見ればわかるし、前評判も政府からの告知で知っていた。
天下五剣、そして日本刀の祖と同格を誇る刀剣男士。
その強さ故に、政府に"大包平を扱ってもよい"と認定されるまで、この本丸の面々も、相当な難易度の演習を余儀なくされた。
あらゆる状況下での連戦。それも、本来ならば複数の部隊運用を前提とした難易度の演習を、6口の短刀たちと駆け抜けたのはついこの間の話である。
「でもさ、大包平は私の刀でしょ」
道具が、何か予期せぬ事態を引き起こしたとするならば。
それはすべて使い手の責任である。
丙午はそう考えていた。
例えば銃で人を撃ち殺したとして、その罪を問われるのは、"銃を使った人間"だ。
刃物で指を切ったなら、手元を誤ったことがすべての原因だ。
物は、どこまでも嘘をつかない。
仮に嘘をつき、災禍を招いたとしたら、それはすべて使い手の、あるいは作り手の失態である。