第4章 4
「部下には、無能な上司を捨てる権利がある。
じゃないと折れちゃうもんね。
だから、見限りたくなったらいつでも言うといいよ。
その時は、移れる本丸探すのも手伝うからさ」
「……今の所、その必要はなさそうだがな?」
「え」
面食らった丙午の頭を、大包平が雑にわしゃわしゃと撫で回す。
「わ、ちょ、ちょっ何!?」
首を思いっきり揺すられて、丙午が抗議の声を上げた。
「ああ、悪いな。力が強すぎたか」
「目ぇ回るかと思った…」
額を抑えて呻く年若い主を見て、大包平は悪びれずに笑った。
「本当にひ弱だなぁ、お前というやつは」
「そりゃ男士と比べりゃ誰だってひ弱でしょ…」
「だからこそ、やり甲斐もある」
お前を選んで正解だったようだ。
その言葉に審神者が固まるまで、あと2秒。