第4章 4
「なるほど…」
この本丸で励起されたその日のうちに、練度上げのために幾度となく戦場に駆り出されたことを大包平は思い出した。
「俺の練度上げを急いでいるようだが、本当にいいんだろうな」
「どういう意味、それ」
刀剣男士は、本来の能力に封をされた状態で審神者に励起される。
初めのうちは肉体を人間並みに動かして、最低限の戦闘行動を行えるほどの能力しか揮えないのだ。
出陣させ、練度を上げるということは、その封を徐々に解除していくということでもある。
「俺が、お前の言う"堕落した男士"でない確証は無い。違うか?」
「そうね、証拠も何も全くない」
どんなモノかもわからない存在を、出会ったその日に、いきなり強化し始める。
確かに、顔を合わせて5分程度の相手に大金を貸すような危険行為だ。
(心配しているつもりなんだろうな、たぶん)
丙午も危険性はわかった上でやっている。