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狐日和【龍が如く4/城戸武】

第1章 狐日和


「……これからオレ、もっと強くなります。……色んなものに打ち勝つために。……さくらさん」
「はい」

強い響きで名前を呼ばれて、思わず背筋を正す。ふざけたところがなかったとは言いきれないけど。



「オレに……付いてきてくれますか?」




えっ、なにこれ、プロポーズ?




「………………やだぴょーん」

「えぇ〜!?ちょ、えっ、軽くないっすかァ?!」


目を丸くして掠れた大声を上げる。城戸ちゃんのリアクションはいつ見ても面白いなあ。久しぶりの空気に私も楽しくなって、発泡酒に手を伸ばす。


「いや、だって、ヤクザやめるんだったら城戸ちゃん無職じゃん。せめて職に就いてから言ってよ、そういうのは」
「……分かりましたよ」

やっぱヤクザ戻ろうかなぁ、なんてブツブツ言っている城戸ちゃんにそっと近づいて、体の側面にピタリと背中をくっつける。

「……ヒモも無しね。私だって給料そんな高くないんだから」
「それだけはしませんから、安心してください」

なーにが「安心してください」だよ。これまで安心させてくれたことなんか全然なかったじゃない。
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