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狐日和【龍が如く4/城戸武】

第1章 狐日和





……けど意外と早く、城戸ちゃんから連絡があった。
髪の毛の根元がすっかり黒くなって、ますますチンピラっぷりが上がっていた。
でもかなりやつれていて、短期間で何があったのかうかがい知ることが出来た。口元や目元には怪我をした跡がある。
私は会えない間どれだけ心配したか、城戸ちゃんは大丈夫だったのか、色々言いたかったけど、何も言えなかった。


ただ、「おかえり」とだけ。

城戸ちゃんはやっぱり、あのよく懐いた犬みたいな笑顔で

「ただいまっす」

と言って、私を抱き締めた。
少し泣きそうになったけど、なんとか我慢した。

城戸ちゃんは大量の私の大好物とお酒を一緒に持ってきていて、何日酒盛りする気なの?と突っ込むと、へへへ、と眉尻を下げて笑う。
お酒そんなに強くないくせに。

「オレ、これぐらいの事しかできねえっすからね」

でっかい事したいなんて息巻いてたのに、と少し意地悪なことを言うと、しゅん、となってしまった。

「あのね……その事なんですけど。……オレ、足洗おうと思ってるんです」

「……どうして」

「……色々、あって」

それ以上は聞かないで下さい、と目線を落として、発泡酒の栓を開ける。

そうか、ヤクザやめるんだ。
というか、私が知らない間に、城戸ちゃんがそう思うほどの事件があったということか。

私は腕を伸ばして、城戸ちゃんの頭を撫でてあげた。発泡酒の缶に口を付けたまま、城戸ちゃんが私を見る。
怒られた子供みたいな目。

「……さくらさん、オレより年下っすよね」
「そうだね」
「……何でこんな事になってるんでしょうね」
「城戸ちゃんがかわいいからさ」

缶を置いて、うー、と唸る。
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