第103章 LOVE LOVE LOVE
昨日チョコレートを買った時は、告白したい気持ちが勝っていたのに。
何だか、気持ちが揺らぎはじめてきた。
まさか僕から告白されるなんて思ってもいないだろうし。
今更だけど…
男から告白されても、困るよね、きっと。
手を伸ばせば触れることができる距離にいるのに、遠く感じる。
ね、智くん。
智くん…
さと…
「ん?何?」
えっ。
何で?
心の中で呟いてたはずなのに。
智くんから声がかかって、目もバッチリ合っちゃった。
「よ、呼んでないけどっ」
「そ?でも背中に…」
「背中?」
そう言われて見てみると、僕の指が智くんの制服をつまんでいた。
無意識に、だったみたい。
「あっ、ごめん。何でもないからっ」
顔がカァッと熱くなっていく。
本当にもう、色々と恥ずかしい…。
「んふふ。本当に大丈夫かなぁ」
智くんは何だか嬉しそうにしてる。
いや、バカな奴って呆れてる?
どっちなのかはわからないけど、智くんの優しい眼差しが僕をとらえていて。
それにまた胸がきゅっとした。
教室には、カツカツと軽快なチョークの音が響いている。
「あ、ノートとらないと」
「そうだね」
胸はドキドキしっぱなしだけど、授業に集中、集中。
チラッと時計を見ると、午前11時26分を示していた。