第98章 夢日和
「ほら。ベッドに行くぞ」
一旦体を起こし、おいらは翔くんに声をかけた。
本当はさ、お姫様抱っこしたいところだけど。
「手、繋ぐか」
おいら、さっきの翔くんの手の温もりにキュンとしたからね。
翔くんはコクッと頷いて、おいらの指先だけ握ってきた。
そういえばあの頃も…
みんなに気づかれないようにそっと手を繋いだり、指先の触れあいっこしてたっけ。
なんて。
今日のおいらは、やたらにジュニアだった時のことを思い出すんだよなぁ。
それはやっぱり、アレだな。
1つ歳を重ねて感慨深いのと…
「翔くんの卵色の服のせいだ」
「えっ?何が?」
「んふふ。ほら、行くぞ」
「何かさ。今日はこの服に負けた気がする…」
ぷぅって拗ねちゃって、可愛すぎるでしょ。
「翔くんが着てるからそそられるんだよ?まぁ、すぐに脱がすけど」
おいらがそう言うと、翔くんは耳まで真っ赤になっていた。
寝室に着きベッドに上がったおいらたちは、向かい合ってペタンと座った。
翔くんのニットに手をかけ、ゆっくり脱がしていく。
さっきまで貪っていた翔くんの胸には、おいらが付けた赤い痕。
翔くんのことが好きでたまらない証。
だってさ、大好きなんだもん。
ちょっと照れくさくなったおいらは、脱がせたニットを枕の横にそっと置いた。