第98章 夢日和
「翔くんさ…」
おいらの呼びかけに目ぇ潤ませてて。
「今、すっげぇドキドキしてんだろ」
だってさ。
「おいらの手、きゅって握ってんじゃん」
「それは…智くんが手を掴んできたから…」
ほら。
そう言いながら、更に強く握ってるし。
「足だって、モゾモゾしてんじゃん」
「それは…」
「それは?」
もうね。
言わなくてもわかってるけど、言わせたくなるの。
それに…おいら、翔くんがちゃんと言ってくれるの知ってるし。
「智くんのことが大好きなんだからしょうがないじゃん」
「んふふ」
おいら的には、翔くんからその言葉が聞けただけでも大満足。
翔くんは顔を真っ赤にしてるけど。
「そうだよな。翔くん、おいらのこと、ずーっと大好きなんだもんな」
「もう…さっきから俺ばかり恥ずかしい…」
「じゃあ、おいらも言ってあげるね」
握られている手をそっと握り返し、翔くんのまぁるいおでこに口づけた。
「おいらも翔くんのこと、ずーっと大好きだからな」
「智くん…」
やっぱりさ。
こんだけ密着してたらさ。
言葉だけじゃ終われなくなったっつーか…。
「はいっ、とゆーわけで。大野智、38歳になってもまだまだ元気なこと、証明しまーす」
翔くんを見ると、呆気にとられてるようにキョトンとしていて。
だからさ、卵色のフワフワがさ。
翔くんの可愛さを引き立たせてるんだってば。
無垢な感じにそそられて、おいらのムスコが元気を増した。