第98章 夢日和
「さとしくぅん」
「ん~?」
「さとしくぅん…」
「んっ…」
甘い声でおいらの名前を呼ぶ翔くんからの口づけ。
「ん、はぁ」
おいらはそのままソファーに押し倒された。
ちゅっちゅっとキスの嵐が降ってくる。
何だろうな。
最近はねっとりと絡みつくような濃厚なキスが多かったからなのか…
翔くんのフワッとした卵色のニットがチラチラ見えるせいもあるのか…
おいら、可愛らしいキスにドキドキしてるんだけど。
「何かね…」
キスの合間に翔くんが話す。
「ん?」
「思い出しちゃってさ」
「何を?」
「智くんと初めてキスした時のこと。智くんは覚えてる?」
「んふふ。覚えてる」
あの日も、絵を描いてるおいらの正面には翔くんがいた。
いつもと同じ光景だったけど、何かが違っていた。
…翔くんからの視線。
絵よりもおいらの顔をじっと見てる時間のほうが長い気がしたんだ。