第98章 夢日和
「でもさ」
「…な、に…?」
「今はおいらがヒヨコだろ?」
「…は?」
「翔くんのケツ追っかけてる」
「えっ?」
「翔くんのプリケツ追っかけてる」
「な、な…」
「翔くんの張りのあるプリケ…」
「もう、やめてっ」
こんな時は素早くて。
あっという間に、おいらの口は翔くんの手で塞がれた。
「あ~、もう。恥ずかしいでしょっ」
照れながらプンプンされても可愛いだけなのに。
ちょっとからかいすぎたかな…なんて思ってたらさ。
「俺のお尻…好き?」
首を傾げてさ、そんなこと聞いてくるの。
「んふふ。好きだよ」
「ずーっとずーっと?」
「うん。ずーっと」
おいらが手を広げると、翔くんはモジモジしながら胸に凭れてきた。
「あのね…」
「ん?」
「これからも智くんのヒヨコでいい?」
「んふふ。いいよ。おいらも翔くんのヒヨコだけどな」
「うん」
翔くんが背中に手を回してぎゅうっと抱きしめてきたから、おいらも翔くんをぎゅうって抱きしめた。
あったけぇなぁ。
しかもさ、こういう日にかぎってさ。
翔くんってば、いつもはあまり着ない卵色の服を着てるし。
あれから20年以上経って、ちっこかった体はおいらよりおっきくなったけど…
やっぱり可愛いヒヨコにしか見えねぇ。